「もう一度見たい世界の絶景」シリーズ ①

 

こんにちは。328HOSTEL&LOUNGEのユカです。今日は私が、頻繁に旅にでていたときの記憶を辿って、遠すぎてもうたぶんいけないけれども、機会があれば訪れたい「もう一度見たい世界の絶景」を3回シリーズでお届けします。

 

 

1. カナダ:イヌビックの雪原とオーロラ。そして「閉じなくなった窓」

 

「もう一度見たい」というよりも、ここは「謝るためにもう一度訪問したい」場所。

オーロラを見たくて予約したゲストハウスでのできごと。綺麗なオーロラを見るための気象条件というのはわりと厳しくて、アラスカに限りなく近いカナダを訪れたって、おいそれと遭遇できるわけではないということを、当時の無知な私は知らず・・・。

毎日朝食のたびに、「今日は見られるかな?」「何時から、見られるかな?」「私、一晩中起きていよーっと」と言っては、親切なオーナーさんご夫妻に心理的負担をかける、いやなアジア人観光客だった私。

オーナーさんご夫妻は、明らかに旅の本懐を遂げることなく帰国しそうな無知な旅人の気を紛らわそうと、息子が通っているホッケー練習場を案内してくれたり、観光客向けの町に2軒しかないレストランに毎日車で送ってくれたり・・・。それはそれは、親切に接してくれていたのでした。

だのに、なぜ~♪

そんなオーナー夫妻のやさしさを踏みにじる「ひどいこと」を私はこの後、やらかすことになるのです・・・。

 

それは、3泊目の夜中。滞在、最終日に起きました!「あぁ、結局このままオーロラは見られないまま帰国か・・・」と、半ば諦めてかけていた深夜0時過ぎ。階下のリビングから「ユカ、オーロラでたわよ」と奥さまの声がします。

旅の終わりの疲れで、ウトウトしてはいたものの、待ちに待ったオーロラの登場。パジャマの上に、ダウンジャケットを羽織って、いきおいよくベランダへと飛び出しました。

と、その瞬間、尋常ではない冷気が体中にまとわりついてきます。「うっ、さぶ・・・」ふと、温度計に目をやると、外気温、-22度。

バナナで釘が打てる、よね・・・(って、これ知っている人はある程度の年齢ですね)。慌てて室内へ戻り、窓を半分ほど開けて、室内からのオーロラ鑑賞に切り替えることに。ほんの5分間ほどの時間でしたが、私が見たオーロラは、よくある緑色のクネクネが空いっぱいに広がるドラマチックなやつではなく、ひらべったい白い雲のような代物。その”きしめん”みたいなオーロラが、煙みたいにクネクネと形をかえて、ユラユラと遠くの森林の間を移動していきます。そんな、拍子抜けするくらいシンプルなものでした。

 

さて、感動(!?)の天体ショーから一夜あけたところで、悲劇が起きます。荷造り中にふと窓のほうへ目をやると、窓が数センチ開いている。どうも、昨夜、窓をきっちり閉めないで寝てしまったようで、なんと、桟が凍りついてしまっているではないですか・・・。

ポットのお湯をかける。お土産で持ってきてた箸で削る・・。気がついてから出発までの30分あまり、ありとあらゆることを試したけれど、窓の桟にはりついたアラスカに限りなく近いカナダの氷は岩よりも硬く、どんなに懸命になってもピクリともしません。

「言おうか、言うまいか・・。謝らなくては・・。いや、あと5分でタクシーき来ちゃうし、どうしよう・・・。どうしよう・・・。」

窓から外をみやると、犬ぞりのブリーダーの仕事もしているオーナー夫妻は、すでに忙しそうに働いており、3日間の私の「オーロラ見たい圧」から解放されるとあって、心なしか晴れやかそうな顔もしています。

あ、遠くからタクシーが近づいてくる・・・。うーん。ごめんなさい。今回は気づかなかったってことで・・・。結局、「Thank you, bye」は言っても、「I’m sorry」を言えぬまま、あんなにもお世話になったゲストハウスを立ち去ってしまった、非常に残念な24歳の私・・・。

 

いま、私は、当時はまったく思いもしなかったゲストハウスのオーナーとなり、ホスト側として、似たような経験をしています。

ベッドに吐瀉物をぶちまけて早朝いなくなってたゲスト。カーテンを破いてそのまま立ち去ったゲスト。シャワールームに、ありえない落し物をしていったゲスト。

まさにこれ、「因果応報」・・・。

 

絶景の記事を書くといいながら、絶景部分が薄い記事となりましたが、大雪原とオーロラの情景とともに、私はいつも閉じなくなった窓ガラスを、記憶のカケラとして思い出します。きっと、うちの宿でしでかしたゲストも、富士山や浅草寺や熊野古道と一緒に「ほろ苦い日本の思い出」としてうちでの記憶が残ってくれるに違いない、しでかされた事の処理をするたびに、そう自分に言い聞かせています。

時は流れ、絶景だけならYouTubeつなげば、30秒で見られる時代です。だからこそ、若者よ。たくさん旅にでて、ぜひ記憶に残る「恥」をかいてもらいたい・・。

そして、ゲストハウスオーナーってのは、よっぽどひどいことじゃないければ怒らないから、何かしでかしたら、きちんと説明してからチェックアウトしてってね・・・。

 

 

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