旅に恋した♡馴れ初め物語【その①〜YAWP!タクロウ編〜】

 

おかえりびとでは初めての、バトン形式の記事シリーズとして、今回より〈私が旅に恋をした“馴れ初め”の話〉を展開します。スタートは、YAWP!backpackersオーナーのタクロウです。

 

 

“旅”と僕との関係においては、そもそも、生まれ育った環境面での大きなファクターがありまして。それは「親戚がアメリカ人」というものです。そのおかげで僕は、幼少期は家族と、10代後半になって以降は独りで、何度も訪米しました。それも、滞在期間は一ヶ月とかの長期が普通だったので、まぁなんというか僕にとって、ロサンゼルスは“第二の家”のような場所なのです。

なので根本的に、僕には外国人に対する“身構える感じ”的な感覚が皆無です。物心がついた時からアメリカに友人がいたので、日本人or外国人といった形で線を引くようなことがありません。これは、僕がゲストハウス・オーナーになる上で、最もと言えるほどのアドバンテージだ、と自覚しております。

 

子供の頃より漫画家を目指していた僕は、高校時代に文化祭で似顔絵屋を個人で開き、それが大ヒットしたことがきっかけで、ストリートでも描くようになり。大学時代にはそれで得た資金のみで日本を縦断したりもしました。なので僕は、日本国内はほぼ全県に訪ねた経験があるのですが、海外は長らく、アメリカだけでした。

それが変わる大きなきっかけが、2004年です。当時の僕は、アルバイトをしながら地道に漫画家を目指していた時期で、似顔絵の活動も週イチペース(メインの場所は井の頭公園)で継続しておりました。そんな中、とある方から「スウェーデンのストックホルムで今度、日本のアートや音楽の文化を紹介する政府系のイベントがある。タクロウ君、そこで似顔絵のパフォーマンスをしてくれない?」との依頼を受けたのです。

飛行機代とホテル代はイベント側(スウェーデン政府)が持ち、それ以外は自費で、サラリーもないとの話でしたが、僕はもちろん快諾。こんなスーパーラッキーな話はないですよ! 旅立ちの三日前になって「ちょうどパスポートの期限が切れたばかり」と判明し、なんと外務省に直接依頼し、特例で翌日に発行してもらうという、アホなミスをしたりもありました(事情次第では、対応してもらえますよ)。

 

なので、僕にとっての初めての海外訪問先は、スウェーデンなのです。アメリカは、海外という感覚ではない。そのイベントは、期間が六日間。僕は「せっかくの初海外だし、ただイベントに参加して、終わったらすぐに日本に帰る・・のではつまんないな〜」と思い、ダメもとで「帰りの飛行機を、一ヶ月後のパリ発に変更してもらえませんか?」と聞いてみたのですよ。すると回答は「OK」で、僕は、ストックホルムでのイベントを起点にパリまで、2000kmの旅をするという、気分はサイコーッ!の状況を手に入れたのです。

その旅が、本当に素晴らしく・・・(しみじみ)。昨今、僕が誰かから「ベストの国は?」と聞かれる際に、「スウェーデン」と答えることが一番多いのは、感謝の念が特に強いためです。実際に僕のあの初めての海外旅で、スタート地点のこの国でムカつくことが重なって起きていれば、ヘタしたら僕は「旅なんて嫌いや!」とヤサグレていたかもしれないのです。しかし、スウェーデンの人々は、衝撃的な優しさ&心の広さだった。そこは、天国のようだった。

 

それを含めて、僕はスウェーデンにはこれまでに三度の訪問経験がありますが、「この国でこんな素晴らしいことがあった!」ネタは長くなりそうなので、自分のブログに改めて書こうと思います(笑)。ここでは、ストックホルムを発ってからの話を。

 

僕は街で似顔絵を描きながら(イベントのために、道具は持って行ってますしね)、コペンハーゲン(デンマーク)→ハンブルグ(ドイツ)→アムステルダム(オランダ)→アントワープ(ベルギー)→ブリュッセル(〃)→パリ(フランス)という流れで南下しました。だいたい、一つの街に4日間くらいの滞在で。途中にもいろいろありましたが、一気に飛ばし、ここには終達の地:パリでの出来事を書きます。

街の中心からは少し離れた、それなりに綺麗だけれど安いホステルを見つけた僕は、そこでの滞在を決定。僕の部屋はキャパ18人の大きなドミでしたが、夏だったのでフルでして。ある日の夜、なんとなく部屋で他のゲストと喋っていると、次から次に旅人が帰って来て、その会話への参加者が増え続ける形になり。

ある程度増えたところで、僕はふと気付いたんですよ。「あれ? みんな一人旅だね」と。しかも、さらにもう一つ。「あれ、みんな国籍が違くない?」と。

なんとそこには、バラバラの18ヵ国から来た、全世界・津々浦々の旅人どもが集まっていたのですよ! 日本(僕)・韓国・台湾・タイ・アメリカ・カナダ・オーストラリア・イギリス・フランス・ドイツ・スペイン・アルゼンチン・チリ、、あとはスイスとかもいたかな(忘れた)。完全にバラバラは一晩のみでしたが、あの夜はなんだか異様に盛り上がり、朝方まで全員で、部屋で酒盛りしました。最初は英語がメインでしたが、スペイン人の彼が超ファニーで、いつの間にかスペイン語が場の主導権を握ったせいもあり、会話の内容はさっぱり覚えておりませんが。とにかく、ひたすらに楽しかった記憶だけはあります。

その時ですね。「旅って、マジでサイコ〜・・・」と、僕がウットリ、恋に落ちたのは。あの頃にはスマホはなく、facebookもなく、連絡先の交換等はしておらずで、部屋の全員とは後腐れなくプッツリですが(涙)。それはパリでの出来事ですから、日本への帰国が迫っている最中でして、ここで僕は「次は、もっと資金を貯めて、無期限で旅をしよう。世界一周しよう!」と決意したのです。

 

帰国後、僕は中途半端になっていた漫画の活動を潔く辞め、アルバイトをいくつか掛け持ちし、貯金メインの生活に突入します。そして4年後の2008年に、満を持しての、世界一周の旅に出ました。というわけで、このストックホルム→パリの一ヶ月の旅こそが、僕が海外放浪バックパッカーになった原点であり、僕の人生を変えたのは、スウェーデンだということです(笑)!! もちろん、スウェーデン政府からの直接の「彼を呼びたい」ではなく、イベント関係者が僕を知っていたことによるわけで、たまたま運が良かっただけなのですが。

 

ちなみに、パリのホステルでの楽しい記憶・・と矛盾しちゃって申しわけないのですが、YAWP!backpackersでは、ベッドルームでの水以外の飲食はお断りしております。朝まで酒盛りってサイコー!のマインドは残っております(笑)ので、寝ているゲストが多数派でない限りは消灯時間には厳しくなく、リビングで皆でワイワイと飲むのはウェルカムです!!

 

 

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