そこまで多くのゲストハウスに宿泊したわけではないので、間違っているかもしれないけれど、個人経営の小規模ゲストハウス(この場合、ドミトリー限定)で、ロッカーの類が充実しているところをあまり見たことがない。そりゃ、カプセルホテルとかなら、更衣室みたいな縦型のロッカーも設置してあると思いますが・・・。
「申し訳ないなぁ・・・」とは思えど、十分なスペースがない中で、他のゲストと譲り合って使っていただくのがドミトリーの前提という考え方なので、うちの場合でいうと、宿泊している2階のベッドとは離れた1階の荷物スペース(鍵はない)に、スーツケース等を置いてもらう場合がある。
すると、荷物を置く際に70%くらいのゲストがこう質問してくる。
「大丈夫ですか!?」と・・・。
大丈夫かどうか・・・。
正直に言うと分からない。
でも、大丈夫じゃないですよと言ってもしょうがないから、「安心してください」と、とにかく明るく(ここ笑うところ)お答えして、その次にでてくる言葉を、おそらく無理やり、飲み込んでもらっている・・・。
うちが特殊なのか、私の頭が、性善説で成り立っているアホだからなのか? 約5年経営している中で、ゲストの荷物の盗難が起きたことは、ただの一度もない。
ないけれど、5年間も続いているこの不毛なやりとりについて「やれやれ」と村上春樹風に思わないというわけではない。
そういえば、私が昔勤務していた会社の社長は、フランスのリッツ・カールトンで、奥様のお土産に買ったエルメスのスカーフが盗まれたってネタを、「世の中、安全とか安心とか、絶対はないんですよ」ということの例えとして、使ってたっけ・・・。
大丈夫かどうか? 特に盗難面において心配な方は、たぶん、ゲストハウスなんか泊まらないほうがいい。
そう、北京の地下牢みたいなドミトリーでパスポートとトラベーズチェック(今の人は知らないんだろうなぁ・・・)を胸に抱いて眠った経験をしている私は思う。
「大丈夫かなぁ」という、そんなドキドキも含めて、板一枚(うちの場合はカーテン1枚ですが)隔てたところで、今日あったばかりの人と寝られる人が、ゲストハウスが「大丈夫」な人なんだ、とそう思う。