おかえりびと

シリア、優しさと憎しみの狭間で(前編)

 

YAWP!のタクロウ、漫画の連載以外では二度目の投稿! 今回も、旅の話です!! 宿の出来事は漫画でお伝えできるので、今後も僕の記事投稿は旅話が中心になると思います。

 

前回ラストに書いた通り、今回の話題は、シリアについてです。

世界情勢に少しでもご興味のある方ならば当然に承知のことでしょうが、シリアは今、内戦状態です。それは2011年の春に始まっておりますので、かれこれ8年以上も、混乱の最中にいます。

僕がシリアを訪問したのは、2008年の11月でしたので、もちろん内戦が起きる前でした。中東・・と聞くと、まさにいつでも戦争しているような、さらにはテロリストやゲリラといった、危険なイメージをお持ちの方が多いことかと思います。しかしこれだけはハッキリと言えますが、僕が見た2008年当時のシリアは、間違いなく平和な国でした。人々は皆、笑顔で穏やかな、素晴らしい国でした(内戦という状況を抜きにすれば、今でもそうだと思います)。

僕はシリアには二週間ほど滞在し、とても刺激的な毎日を過ごしましたので、ここで語れる話はいくつもあるのですが。今回は、一つの出来事を通して、僕が「世界の縮図のように感じた」ことを話します。

 

シリア中部に、パルミラという、世界遺産の巨大遺跡があります(内戦で破壊されてしまったので、今は行けませんが)。僕はそこを観光し、次の街、シリア南部にある首都ダマスカスへ移動するために長距離バスに乗ろうと、バスターミナルに行きました。

すると、なにやら騒がしく。理由は忘れました(ストか何か)が、「今日はバスは走っていない」と言われましてね。この、「えぇ〜バス止まってんのぉ〜?」状態は、バックパッカー旅では世界中でしょっちゅう出くわしますので、驚きでも何でもないのですが。「困ったな、ではバスの再開まではこの街に居続けるか・・」と、移動を諦めかけていたところ、他にも困った感じの外国人(欧米人)が三人いる。彼らと僕がフワッと集まり、「四人でタクシーをシェアしない?」という話になり、僕もその案にのりまして。もちろんそれでも、バスより値は張りますけどね。

タクシーは6時間くらいでしたか、僕ら四人は初めて出会った者同士でしたが、密封空間(笑)の6時間で語り明かし、もちろん仲良くなりまして。

 

ダマスカスに着き、誰も宿を予約していなかったので(当時はそれが普通でした・・)、皆で宿探し。よさげな場所を見つけて、チェックイン。もう夜になっていたし腹も減ったしで、「では、皆で晩飯を食べに行こうか」となりまして。

僕らは近所のローカルなレストランにテキトウに入りましたが、そこのメニュー本には、英語はなく、写真もなく。完全にアラビック文字のみだったので、料理の詳細はさっぱりわからない。

僕は普段、そういう状況の場合には、テキトウに指差してパパッと注文しちゃいます。もしくは、「そちらのおススメでいいです」にしちゃいます。別に、変な料理が出て来たってそれはそれでおもしろいし。味もたいていで良好、マズくて食べられない料理なんて、そうそう出て来るもんじゃないし。

しかし、僕らのメンバーの一人、フランス人の女性がウェイターを呼び、「このメニュー本、全てを英語に訳して説明して」と当然のようにサラッと言ったんですよ。僕は内心「おいおいマジかよ、この本メチャ分厚いじゃん!」「せめて、鶏肉料理とか絞って、一部だけ説明してもらえばいいじゃん」と、イラッとしまして。

親切なウェイターさんは、30分くらいかけて一生懸命、つたない英語でメニュー本の全てを説明してくれましたよ・・。僕はずっと彼に「ホント、すみません・・」な気持ちでしたが、他の面々は、どこかニヤニヤした感じでそれを聞いており。そして説明が終わり、僕はさらに驚きまして。なんと先ほどの「全て説明して」のフランス女性が、笑いながら「ん〜、美味しそうなのが一つもない。違う店にしよう」と言ったんですよ!!

〈続く〉

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