おかえりびと

ゲストハウスと、渡る世間

 

想像してみてください。近所の個人経営のラーメン店の一日を・・・。

店主は、朝6時に起床し、1階にあるお店(だいたい自宅兼が多い)に降りてきて、仕込みを開始します。午前11時オープン。少し前から近隣のオフィスワーカーたちが、お店の前に並びはじめます。椅子の上に荷物を置いて、場所取りだけして消える。もしくは、お腹が空いているからといって、順番を無視して、割り込みするようなマナー違反な人が現れることはめったになく、みなさんルールを守って、淡々と列に並んでくれています。

14時にランチタイム終了。さて、ここから夜の営業再開までの時間が、店主のつかの間の「休憩時間」です。夜の営業に備えて、お昼寝タイムを取るかもしれないし、もしかしたら、学校から帰ってきた娘の宿題をみてあげる日もあるかもしれません。こうした貴重な「休憩時間」をはさんで、17時から夜の営業開始。21時には営業が終了します。営業終了後は、「今日、予約してたんだからお店をあけて、自分を待っていないとおかしいでしょ」といって、電話をかけてくるお客さんなどいません。黙々と明日の仕込みの準備をして、一日を終えます。

はい。じゃ、これを、平均的な(※うちではなく)個人経営のゲストハウスのオペレーションにあてはめてみましょう。

7時起床。8時には、お店に顔を出して、営業開始の準備をします。午前中は、ゲストの観光ルートの相談にのったりしながら、11時にチェックアウト終了。ゲストを送りだしてから、掃除やベッドメイクを開始します。

気がつけば、あっという間にお昼過ぎです。「14時~16時はスタッフの休憩時間とさせていただいております」とWebサイト上には記載してありますが、「そんなの知らなかった」と荷物を預けにくるゲストが、次々とやってきます。中には荷物預かり希望だけではなく、「今すぐ寝たいから、ベッドを使わせて~」という強者も現れます。「それは無理」「いや、寝させろ」「チェックイン時間まで待って」「いや、私はひどく疲れているから」などと、体力が続く限りやりあう日もあります。

そうこうしていると、「休憩時間」をとれないまま、チェックイン開始時刻16時に突入します。23時チェックイン終了・・・と、これで毎日、終われればラッキーです。いつもチェックイン時間を守ってくれる良いゲストさんばかりとは限りません。深夜1時、さぁ、これはもうノーショー(無連絡で現れないこと)かなぁ、と思っていると、ひょっこりとゲストから怒りの電話がかかってきました。「おい、なんで玄関の鍵かかってんだよ。入れないじゃないか・・・」「・・・・・・」(うひぃ~~~)。

最後の、深夜1時というのは、よほど特殊なロケーション(うちか・・・)でしかありえないかもしれませんが、それ以外は、だいたい、どこのワンオペゲストハウスのオーナーでも経験したことのある、「あるある出来事」ではないでしょうか? このサイトをご覧のみなさんの中には、“夢はゲストハウス経営!”という方もいらっしゃるかもしれません。僕なら、私なら、もっとうまくオペレーションを組むから問題ない、そう思われることでしょう。きっと、そうかもしれないですね。でも、一つだけ、言わせてください。

宿泊施設は、24時間稼働していると思っている方が、世間には多いんですよ・・・。現在時刻は、午前0時50分。「今日、部屋空いてますか? シングルで」という電話を受けながら、まだ来ぬオランダからのゲスト2名を待つ時間が流れていきます。

渡る世間は鬼ばかり? 個人経営のお店を、オペレーションコストをかけずに、なるべくのんびりと・・・と考えているゲストハウス開業志望の方には、近所のラーメン店、もしくはカフェの経営と一度、比較検討されることをオススメしたい。そんな初夏の夜でした!

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